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【白内障手術症例No.86】杉並区60代女性 強度近視・核白内障(両眼:Clareon Vivity:クラレオンビビティ

白内障手術症例集(多焦点)をアップしました

既に他院で両眼の多焦点レンズでの白内障手術を予定していましたが、レンズ選択に不安があるとのことでセカンドオピニオン的に初診された方です。
当院での術前アンケートでは、「できるだけ眼鏡はかけたくないが、見え方の質を重視したいと思っている。最悪、読書などの時に眼鏡をかけるのは仕方ないと思っている。」と記載され、最も重視する距離は「遠方」と回答されておりました。ご自身の性格に関するアンケートも「完璧主義」を選択されており、見え方の質に対するこだわりが非常に強い印象でしたので、その点は多焦点レンズに向いていないこともご理解いただきましたが、やはり多焦点レンズをご希望されました。そこで、まずは白内障のより進行した右眼は、異常光視症がほとんど生じないClareon Vivity(クラレオンビビティ)を用いて手術を行なったところ、術後は近見はもう十分良く見えて満足とのことで、左眼はより遠方の目標度数をご希望されました。

左眼は軽度の角膜乱視もありMix-and-Matchを採用する可能性もありましたので、3焦点レンズのパンオプティクスの乱視用もバックアップとして準備して手術にのぞみましたが、適切な左右差をつけることで遠近とも良好な視力を得ることが事前に予測できた方でしたので、結果として両眼Vivityを使用し、術後は裸眼遠方視力:右眼1.2/左眼1.5p近方視力:右眼1.0p/左眼1.2と予想以上の近見視力に満足いただけました。

このようにVivityパンオプティクスMix-and-Matchでなくとも、シュミレーションにより適度な左右差をつけることで、両眼Vivityでも満足いただける結果をご提供することも症例によっては可能です。しかしながら「適度な左右差」の許容範囲は人それぞれ異なりますので、その適応判定と目標設定には注意しなくてはなりません。

最近の多焦点レンズ(老視矯正レンズ)は、Vivityのようなハログレアといった異常光視症が少なく、見え方の質を優先したレンズと、近くまで見える近見距離を優先したレンズに二極化してきておりますので、患者様におかれましては、自分の優先度をしっかり担当医に伝えたうえでレンズ選択されることが非常に重要になります。前者としては、Vivityとほぼ同様の加入度数を持つJ&J社の新しい屈折型EDOFレンズであるTECNIS PureSee(テクニスピュアシー)後者では、TECNIS Synergy (テクニスシナジー)より異常光視症が軽減された回折型レンズであるTECNIS Odyssey (テクニスオデッセイ)の登場が控えています。TECNIS Odyssey (テクニスオデッセイ)は、いわばテクニスシナジーの上位互換にあたるため、早ければ今秋から国内使用も可能になる見込みです。

もちろん異常光視症がなく手元まで見えるレンズが1番なのですが、残念ながら現時点では天然の水晶体と同様の視機能を提供してくれる完璧な眼内レンは存在しません選定療養対象レンズ以外では、自由診療になってしまいますが、Lenstec社のClearView3や、SIFI社のMiniwell Readyなどがそのコンセプトには近しいかと思われますので、ご興味にある方はお気軽にご相談ください。

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