お知らせ

Lenstec社 FDA承認 分節型多焦点レンズ:ClearView 3 導入のお知らせ

この度、米国Lenstec社ClearView 3(2022年FDA承認)という多焦点レンズを自由診療として導入することとなりました。
このレンズは回折格子を持たず、レンティスのように上下分節型多焦点レンズであるため、ハロ・グレアなどの異常光視症をほとんと生じず遠方・中間・近方において質の高い見え方が期待できるレンズです。

レンズのデザインとスペック

ClearView3 

ClearView 3は、上図のように、上方遠方部分、下方+3.0D近方部分、中間部視力を担う移行ゾーン(tranzision zone)を持つことで、遠方から40cmまで連続した質の高い見え方を実現しています。素材は親水性アクリルレンズ(含水率26%)であり、通常の業界標準よりも3倍厳しい±0.11D以内の誤差精度で製造されているため、+15.0D~+25.0Dのレンズは0.25Dステップで提供されている点が特徴です(通常は0.5Dステップ)。そのため、より高い精度での術後屈折値ゼロが期待でき、患者様の術後満足度を高めることを可能としています。

<レンズスペック>

光学部タイプ         非球面分節型2焦点レンズ(加入度数+3.00D)
光学部サイズ          5.75mm
全      長        11.00mm
レンズ素材        親水性アクリル(含水率26%)
レンズ度数           +15.0~25.0D /0.25Dステップ、+25.5D~+30.0D/0.50Dステップ
光エネルギー配分     遠方部50%、近方部42%、ロス8%

clearview3

 

適応する患者層

ClearView 3は、生活の中で遠方から近方まで、頻繁かつシームレスに見たい方に適しています。また、ハロ・グレアなどの異常光視症を最小限に抑える設計がされているため、回折型レンズはもちろん、波面制御型レンズよりもハロ・グレアを感じにくいとも報告されており、夜間運転十分な明るさのない環境での作業が多い方にも向いています。さらに、高い精度と緻密な設計により、質の高い視機能を求める方にも適しています。また現時点では乱視用と強度近視の方に必要な15.0D未満低度数レンズ製造されておりません

 

注意点

ClearView 3は、従来の同心円状の回折型多焦点レンズと比較して、見え方の質の面で多くのメリットがあり、特に、色調とコントラスト感度の向上により、自然な見え方に近いです。しかしながら、レンズ部位により度数の異なる分節型であるため、レンズの多焦点機能が十分に発揮されるためには瞳孔の変位がなく、瞳孔径3.0mm以上の方が望ましい点と、物がダブって見えるゴースト現象を感じる可能性がある点は注意が必要です。また、長期にわたって良好な視機能を維持するためには、レンズが中心に位置することが重要ですので、原則として当院ではミニウェル同様CTR(カプセルテンションリング)を併用して手術を行う予定です。

 

このようにClearView 3は、質の高い見え方と、広い名視域(見える範囲)の両方を兼ね備えたレンズと言えます。同様のレンズとしては乱視用含めオーダーメイドレンティスMplusがあり、光エネルギーロス5%とより低く高機能なレンズですが、オーダーメイドの場合は術前検査時点で度数決定しないといけないというデメリットがあります。つまりその時点で適切な度数をオーダーできていなければ、せっかくのオーダーメイドも意味をなさなくなってしまいます。多焦点レンズ屈折誤差の影響を受けやすいため、当院では誤差を極力小さくすべく、ORAシステムを用いた術中波面収差解析結果により最終的な度数決定を行っております。具体的には、通常複数レンズ度数を事前に準備し、リアルタイムの術中測定値によって最適なレンズ度数を選択しているため、レンティスMplusのような高価なオーダーメイドのレンズでは対応が難しいのですが、ClearView3は事前に複数度数準備して手術に臨めることで、患者様にもメリットがあると考え導入に至りました。

ClearView 3を用いての手術は8月以降を予定しておりますので、上記条件に合致する方(強い近視や1.0D以上の角膜乱視がない方)で、ClearView 3にご興味のある方は、お気軽にご相談ください。

ClearView 3メーカーリンク

2024.04.27