【白内障手術症例No.87】大阪府40代女性 強度近視(テクニスシナジー ⇒ 単焦点レンズ入替 ⇒ EVOLVE:エボルブ多焦点アドオンレンズ)
当院では初症例となった、イタリアSOLEKO社の焦点深度拡張型(EDOFタイプ)であるEVOLVE(エボルブ)といる多焦点レンズのアドオンレンズの症例です。
半年以上前に他院でテクニスシナジーを用いて右眼の白内障手術を行ったところ、術後の「全体的にぼやけた感じ」といういわゆるwaxy visionに悩まされ、術後2ヶ月で単焦点レンズに入替手術を行ったとのことです。その結果、見え方の質は改善したものの当然近方視力は0.1と低下したため、多焦点アドオンレンズを検討されているとのことで紹介状なく初診されました。
もともと単焦点レンズのクリアな遠方の見え方に慣れている方ですので、そのクオリティの高さを損なわずに満足できる近方視力を提供できる多焦点アドオンレンズとなるとハードルが高く、従来の回折型の多焦点アドオンレンズでは難しいと思われました。そこで、患者様とご相談の結果、屈折型+EDOFであるEVOLVE(エボルブ)とういう多焦点レンズのアドオンレンズバージョンを使用することとなりました。
EVOLVE(エボルブ)はアイハンス・Vivity・ミニウェルなどのように中央に加入部分を持ちますが、EDOFレンズであり加入度数はやや弱めで2.0D=50cm程度となりますので、Vivtyとミニウェルの間くらいに位置します。そこでその近方加入の弱さをカバーするべく、目標屈折度をどこまで近方にずらしても遠方視力が低下しないかを、術前検査で綿密にシュミレーションして、使用するアドオンレンズの度数を決定しました。白内障手術と異なる点は、術眼そのものでシュミレーションできることであり、術後の再現性はより高いものになります。
その結果、術翌日は裸眼視力で遠方1.5p/近方1.2、術後1ヵ月で遠方1.2p/近方1.5と良好な視力、かつ単焦点同様なクリアな視界と予想以上に近方も見えることに大変喜んでいただけました。もともと遠方合わせの単焦点レンズの方への多焦点アドオンレンズとしては、今後当院ではEVOLVE一択となるかなと思わせるほどの良好な結果であったことと、同一眼でテクニスシナジー→単焦点→EVOLVEの3つのレンズの比較対象をしていただいた貴重な症例であることから、白内障手術症例とは異なりますが情報提供として掲載させていただきました。
アドオンレンズでなく通常の白内障手術で使用するEVOLVE(エボルブ)は、作製度数の範囲も広く、通常の多焦点レンズでは適応外となるような強度近視・乱視の方にも対応しておりますので、保険適応外の自由診療になってしまいますが、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。