お知らせ

【白内障手術症例No.98】杉並区70代女性 遠視眼(回折型3焦点レンズ:Clareon PanOptix Pro:パンオプティクス プロ)~enVista Envy(エンビー)~との違い

世界で最も使用されている3焦点レンズであるPanOptix(パンオプティクス)の上位互換にあたる、PanOptix Proパンオプティクスプロ)の先行使用を開始して3ヵ月ほど経過しますので、その使用感含め、まずは当院初パンオプティクスプロ症例標準症例)を掲載させていただきます。

患者様は70代の女性の方で、遠視眼かつ狭隅角であり、術前アンケートでは多焦点レンズをご希望されており、お仕事で舞台で朗読する際に、老眼鏡をかけたくないとのことで、距離の優先度は中間>近方>遠方でした。中間近方を優先するとなると、焦点深度拡張型(EDOF)のレンズは選択肢から外していただき、しっかりと中近用の加入度数が入っている3焦点レンズパンオプティクスの予定で手術に向けての検査を進めておりました。

その経過中に、光エネルギーの損失を、回折型レンズでは理論上の限界値の6%に抑え(従来型は12%)、コントラスト中間視力を向上させたパンオプティクスプロを先行使用させていただくこととなったことを患者様にお伝えし、ご希望の可視化も兼ねて、当院のレンズ選択支援ツールの入力もしていただいたところ、やはりパンオプティクスプロが、ライフスタイル適合度: 93.0%と最も高く(下図参照)、ご本人ご納得の上、パンオプティクスプロでの手術にご同意いただきました。

術後は、遠方は1.5~1.2近方40cmは1.2~1.0近方30cmも1.0~0.7と、遠方はもちろんですが、期待通りの近方視力に、眼鏡なしで朗読のお仕事も可能になったと大変満足していただけました。

乱視用のパンオプティクスプロ(パンオプティクスプロ トーリック)も先行使用可能となって以来、当院では既に多くのパンオプティクスプロを使用してきておりますが、従来モデルでは、30cmで1.0の視力が得られるケースは稀でしたので、パンオプティクスプロでは、より近方視力が良好になっている(より近方まで見える)ことを実感しております。また、当院では1mの視力は測定しておりませんが、これまで3焦点レンズが苦手としてきた1m付近の視力向上の使用報告も聞いております。

それでもなお、日本より約1年早く使用開始している米国では、異常光視現象によるパンオプティクスプロの不適応症例も認められており、より異常光視現象が少ない、回折型3焦点レンズのボシュロム社のenVista Envy(エンビー)への入れ替えにより改善されたとの報告も散見されます。

今後も新しい多焦点レンズが出てくると思われますが、どのレンズがベストかは、患者様の生活環境や趣味によって一人ひとり完全に異なります。当院では、最新のトレンドやスペックだけに流されることなく、患者様のライフスタイルを徹底的に分析した上で、一生に一度の手術に最適なレンズをご提案いたしますので、レンズ選択に不安のある方はご相談ください。

なお、先日、他院で右眼従来のパンオプティクスで手術された方の左眼パンオプティクスプロを使用しました。術後落ち着きましたら、患者様のリアルな左右差(ハロー・グレアやコントラストの違い)の感想をお聞きし、引き続きご報告させていただきます。

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比較項目 Intensity
インテンシティ
PanOptix Pro
パンオプティクス プロ
enVista Envy
エンビー
構造 5焦点
独自のDLUアルゴリズムによる回折型3焦点プラス≒5焦点レンズ
3焦点
ENLIGHTEN NXTテクノロジーによる回折型3焦点レンズ
3焦点(フルレンジ)
ActivSync技術による前面アポダイズド回折型・後面屈折型の複合設計
回折ステップ数と範囲 12steps/6mm(光学部全面) 15steps/光学部中心4.5mm 22steps/光学部中心4.5mm
(ClearPath技術によるエッジ平滑化
素材・色 25%親水性アクリル
色:ナチュラルイエロークリアに近い色調のため、色調の鮮明度や夜間の明るさを重視する方に適しています。
Clareon疎水性アクリル)
色:イエロー(着色あり)天然の水晶体に近い色調(イエロー)で、有害な青色光をカットし、最新素材により長期的な透明度を維持します。
TruSight疎水性アクリル)
色:クリア無色透明)グリスニングフリーで長期的な透明性を維持し、自然な色覚を提供します。後面屈折型による精密な収差補正が特徴です。
加入度数 +1.5D / +3.0D
(中間域に2つの補正焦点を配置)
+2.17D / +3.25D
(実用的な中間と近方に特化)
+1.6D / +3.1D
(現代的なマイルドな中間と近方に設定)
焦点距離 遠方、133cm80cm、60cm、40cm
(5つのポイントで連続的にカバー)
遠方、(120cm)60cm、40cm
(スマホ・PC作業に最適な距離を強調)
遠方、約66cm、約40cm
(デスクトップPC作業やダッシュボードの距離に最適化)
光利用率 93.5%
(光散乱6.5%)
94.0%:従来のPanOptixは88%
光散乱6.0%:従来のPanOptixは12%)
非公表
(※構造上のベース光散乱は約12〜15%程度発生するが、エッジ平滑化によりノイズを抑制)
エネルギー配分 遠方45%/中間 27.5%/近方27.5%
(全域にバランス良く分散)
遠方50%/中間25%/近方25%
(遠方の鮮明度を重視した設計)
【瞳孔径により変動(アポダイズド)】
明所(3mm):遠方40-45%/中間:25%/近方30%
暗所(4mm〜):遠方75-80%/中間:8-10%/近方10-12%
作成度数 +10.0D 〜 +30.0D
(乱視用:Toric対応)
+6.0D 〜 +30.0D
(乱視用:Toric対応)
0.0D+34.0D
(乱視用:Toric対応)
特徴 切れ目のない自然な視界:焦点間の視力低下が少なく、室内での家事やデスクワークなど、視線移動の多い方に適しています。 鮮明なコントラストと高い満足度:光の散乱を極限まで抑え、特にスマホ(40cm)やPC(60cm)などのデジタル作業に強いのが特徴。 PC作業と夜間運転時のクリアな視界の両立:暗所では遠方に光を回してハロー・グレアを抑え、昼間は66cmのPC距離にピントが合う。薄暗い場所での手元の見え方には弱点がある。

2026.03.22