【Acriva Trinova (アクリバトリノバ) Pro 導入開始のお知らせ】
世界初のSinusoidal Vision Technologyという正弦波パターン(サインカーブ)のなめらかな回折構造により、ハロー・グレアといった異常光視症を軽減した回折型3焦点レンズである、Acriva Trinova (アクリバトリノバ) Proの使用を開始しております。
Proでない従来のアクリバトリノバの加入度数が、+1.5Dと+3.0Dであったのに対し、Proは+1.70Dと+3.35Dにすることで、より近方を重視するよう改良されています。こちらはアクリバトリノバPro Cとも異なり、今日のライフスタイルを考慮して日本人向けに開発された新しいモデルであり、
①夜間の運転中に交通標識等が明瞭に見えること
②コンピューターの画面が快適に見えること
③薄暗い場所でも読書ができること
上記を目的としてデザインされています。
<アクリバトリノバ Proの主な特長>
1. Sinusoidal Vision Technology (正弦波ビジョンテクノロジー)
特徴的なSinusoidal Vision Technologyは、自然界に見られる正弦波(カーブ構造)のなめらかな形状をレンズの回折構造に応用した革新技術です。従来の多焦点レンズに見られた回折リングの鋭いエッジをなくすことで、光の散乱を抑制し、ハロー・グレア(夜間の光のにじみや眩しさ)といった不快視覚現象の軽減が期待されます。
・なめらかなレンズ表面で光のロスを低減
・より自然でクリアな見え心地を追求
・異常光視現象の低減による夜間視の質の向上
2. 優れた焦点深度と連続的な見え方
アクリバトリノバ Proは、遠方5m・中間80cm・近方40cmの3つの距離にバランス良くピントが合うよう設計されています。国内臨床試験では、遠方から近方まで視力の落ち込みが少ない、滑らかで連続的な見え方が確認されており、日常生活の様々なシーンで眼鏡なしでの快適な視界を提供します。
・運転、テレビ、PC作業、読書など多様なシーンに対応
・スムーズなピント移行でストレスの少ない視界
下図は術後の視力推移ですが、術後1年にわたり、遠方は1.0以上・中間は0.8以上・近方は0.7以上の良好な裸眼視力が確保されています。なお、他社の3焦点レンズに比べ大差ないように見えますが、こちらは片眼データであることは注目に値します。両眼視の方が当然結果が良くなりますので、各社のデータは両眼視のものが多いのが現状ですが、レンズを使用する側にとっては、より正確にレンズの機能が反映される片眼データであることは、レンズの特性を把握するためには非常に役立ちます。
焦点深度曲線は下図の通りですが、一峰性とあるように、従来のアクリバトリノバのEDOF機能も受も継がれ、連続的なシームレスな見え方が実現されています。
3. 高い光透過率 (網膜光透過率93%)
レンズ素材と設計の最適化により、93%という高い光透過率を実現しています。
これにより、より多くの光を目に取り込むことができ、特に薄暗い場所での見え方(コントラスト感度)の向上が期待され、より鮮明で明るい視界をもたらします。
- ・より明るく、くっきりとした視界
- ・夜間や暗所での視認性向上に貢献
4. 唯一の最強度近視用 選定療養対応 多焦点レンズ(2025年6月現在)
これまでの選定療養対応の多焦点レンズは、強度近視用としては+5.0Dや+6.0D以上の度数しか作製されておりませんでした。そのため+2.0Dや+3.0Dなどが必要な、より強度の近視の方は適応がなく、海外から輸入するような自由診療レンズを使用せざるを得ない状況でした。しかしこのアクリバトリノバ Proは0.0Dから作製されているため、これまで多焦点レンズを諦めていた最強度近視の方々も、選定療養を使用して手術を受けることが可能となります。
このようにアクリバトリノバ Proは、特徴的な回折格子により異常光視症を軽減し、93%と非常に高い網膜光透過率を有しているため、質の高い見え方を求める方、眼鏡への依存を減らしたいアクティブな方に向いているレンズと思われます。
以下は個人の感想になりますが、アクリバトリノバ Proは加入度数に比べて近方視力が弱いのではとの報告もあります。当院では従来のアクリバトリノバの使用経験もありますが、従来モデルですら特別近方視力が弱いという印象はありませんでしたので、さらに近方加入が増加したProモデルが、従来モデルより劣ることはないと思われますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。