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【白内障手術症例 No.82】練馬区50代女性:遠視眼レンズ入れ替え(右眼:回折型3焦点レンズ:パンオプティクス➡波面制御型EDOF多焦点レンズ:Clareon Vivity:クラレオン・ビビティへ入替

白内障手術症例集(多焦点)をアップしました

半年以上前の症例になりますが、3焦点のパンオプティクスから波面制御型のクラレオン・ビビティ(Vivity)への入替症例です。

紹介状によると術前状態は裸眼・矯正視力とも1.2なんとか見えていたようですが、強い皮質混濁と1.5D程度の遠視であったためパンオプティクスでの手術を希望され、術後視力は遠方1.0/近方1.2と良好でした。しかしながら、術後は日中でもハロ・グレア・スターバーストといった異常光視症を強く感じ、吐き気をもよおすほどで日常生活に支障をきたしているとのことで、クラレオン・ビビティ(Vivity)をやや近方設定での入れ替えを強くご希望されました。

術後1ヵ月と比較的早期でしたので、入替手術はイメージどおりにスムーズに終了し、入替後の視力遠方1.0/近方1.0pとなり、異常光視症がなくなったことで日常生活が改善体調不良も良くなったと喜んでいただけました。しかしながら「ブレが気になり近方が思ったより見えにくい」との訴えが残ったことからも、Vivityは回折型多焦点レンズよりも乱視に弱い可能性が示唆されました。

最近は回折型レンズの異常光視症が問題視され、ジョンソンエンドジョンソンからはテクニスPureSee(ピュアシー)という屈折型焦点深度拡張型(EDOF)レンズがアナウンスされておりますが、一方で回折型はその構造の工夫により瞳孔径の影響を受けにくいというメリットもあり、テクニスシナジーの異常光視症軽減を目的としたテクニスOdyssey(オデッセイ)の発売も予定されているようです。

焦点深度と異常光視症発生に関しては相反する傾向があり、現在の技術では、遠方から近方まで見えるレンズほど、ハロ・グレア・スターバーストは強くなってしまいますので、患者様に置かれましては、見える幅をとるか、鮮明さをとるかという、いわゆるトレードオフを迫られることになってしまいます。この症例のように、日中も異常光視症を強く感じる方は非常に稀ではあると思われますが、見え方に関するご自分の優先度をきちんと整理してレンズを選択されることをお勧めいたします。

 

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