診療内容

白内障手術症例集
単焦点眼内レンズ

昭島市70代女性 白内障手術症例#54 焦点深度拡張型単焦点レンズ:TECNIS Eyhance:テクニスアイハンス(先行使用)

  • 術前

    右眼
    遠見:0.3(0.4p)

    左眼
    遠見:0.3(0.4)

  • 術後

    右眼
    遠見:1.0(1.5p)
    近見:0.4(1.0)

    左眼
    遠見:0.9(1.5p)
    近見:0.8p(1.0)

妹さんが当院で白内障手術されているため(単焦点)、近隣大学病院からご紹介にて初診された方です。両眼とも皮質混濁が瞳孔領まで進行した白内障による視力障害認め、御相談の結果手術をご希望されました。もともと裸眼で遠方がよく見えており、運転機会も良くあるとのことで、単焦点レンズを遠方に合わせて使用する予定でしたが、テクニス アイハンス先行使用のお話をしたところ、多焦点レンズのようなハログレアがなく、少しでもピントの幅が広がるのであれば使用したいとのことで、まず優位眼の右眼は裸眼で運転できるようしっかり遠方視力を確保することを第一目標として度数設定をさせていただきました。

右眼術後4日目には遠方1.2p/近方0.8と、加入度数+0.5Dのスペック以上に近見視力が良好でした。しかしながら僚眼の左眼手術直前の右眼裸眼視力検査では、遠方1.0/近方0.4と近方視力がスペックどおりに低下しておりましたので、御相談の結果、既に遠方視力は御満足とのことで、手術直前ではありますが、急遽0.5Dほど近方にシフトした度数設定に変更しての手術となりました。

術前徹照写真     術後徹照写真
 

結果として左眼は裸眼にて遠方0.9/近方0.8と視力改善し、裸眼での両眼視視力は遠近とも1.2と良好であり、手元の小さい文字は厳しいけれども新聞は眼鏡なしで充分読め夜間運転も全く支障なく、ハログレアも感じないとのことで、大変御満足いただきました。下記の術前・後の眼底写真の鮮明度の違いからも分かるように、御本人はもちろん、術後は我々眼科医側も眼底病変の早期発見・治療がしやすくなります。

術前眼底写真     術後眼底写真
 

テクニスアイハンス+0.5D加入ながら収差を利用した単焦点レンズですので、非常に適応が広いレンズであり、屈折誤差を生じやすい緑内障同時手術や、不適切な角膜球面収差がなければLASIK後の方にも向いているのではと思われます。もちろん回折格子もありませんので、ハログレアもほとんどなく(単焦点レンズと同等)、患者様に言われなければ単焦点との違いは分からないかもしれません。ですので、単焦点同等の見え方の質を優先したい方には向いていると思われます。しかしながら、加入度数としてはレンティスコンフォートの+1.5Dに比べるとかなり劣りますので、近見視力の確実性はスペック的にもレンティスコンフォートの方がはるかに高いです。

なお+0.5D加入とは、遠方2mに合わせた場合は2~1m(1/0.5 ~1/1.0m)まで見えることになりますが、近方40cmに合わせた場合は40~33cm(1/2.5~1/3.0cm)まで見えることになります。つまり遠方合わせだと1m近方合わせだと10cmの焦点深度拡張を得ることができますので、ライフスタイルにもよりますが、遠方に合わせる方が明視域的にはメリットが大きいかもしれません。

※テクニスアイハンスの詳細は下記を御参照ください
https://morohoshi-ganka.com/news/868

テクニスアイハンスはレンティスコンフォートと同様に保険適応(単焦点レンズ扱い)ですので、もともと単焦点での手術を決められている方は、もうひとつの選択肢として検討されても良いと思われます。テクニスアイハンスは10月末に一般発売予定ですので、ご興味のある方はお気軽に御相談ください。

2021.10.17

Q.手術前はどのような状態でしたか?

テレビの文字がぼやけていた

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

先生に白内障がだいぶ進んでいると言われたので

Q.手術中に痛みはありましたか?

特になし

Q.手術後の見え方はいかがですか?

新聞が読みやすくテレビの文字がはっきり見える

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

部屋のゴミが良く見える

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

単焦点

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

勧める