診療内容

白内障手術症例集
多焦点眼内レンズ

杉並区50代女性 白内障手術症例#93 強度近視片眼:3焦点レンズ:クラレオン・パンオプティクス(多焦点レンズ選択支援アプリのご紹介)

  • 術前

    右眼
    遠見:0.03(1.5)
    近見:(1.2p xSCL)

    左眼
    遠見:0.06p(0.7)
    近見:0.09(0.7p)

  • 術後

    右眼
    手術なし

    左眼
    遠見:1.5p(1.5)
    近見:1.5p

PanOptix Pro(パンオプティクスプロ)の使用開始が決まりましたので、久しぶりに通常のパンオプティクスの症例を簡潔に掲載させていただきます。

他院コンタクトレンズ検診にて1年前から左眼の白内障を指摘されているとのことで、紹介状なく2025年7月に当院初診の方です。

強度近視の方でしたので、近視性の核白内障かと思いましたが、瞳孔領まで進行した片眼性(左眼)の前嚢下白内障であり、矯正視力も0.7に低下しておりました。日頃、遠近両用コンタクトレンズを使用されているとのことで、右眼遠近とも1.2p程度の良好な視力でしたので、ひとまず手術は左眼のみで十分である旨ご説明しさせていただきました。また、多焦点レンズをご検討されているとのことで、術前アンケートをお渡しし、まずは多焦点レンズの適応判断のためにも最低3日間はソフトコンタクトレンズを装用をお休みいただいて再診とさせていただきました。
再検査での角膜形状解析では、高次収差も低値であり多焦点レンズの効果も十分発揮されうる眼であることが確認され、アンケート結果では「なるべく眼鏡を使用したくない」、「ピントの幅を重視したい」、「夜間運転機会も頻繁」を選択されておりました。以前からお伝えしているとおり「ピントの幅」と「夜間ハログレアがないこと」は相反するトレードオフの関係にありますので、ある程度どちらかは我慢していただく旨ご説明したところ、お仕事が薬剤師であるため、処方箋の小さい文字が見えることを優先したいとのことでした。術前アンケートと下記の当院オリジナルの多焦点レンズマッチングアプリの結果では、アクリバトリノバProが推奨レンズの1位でしたが、クッキリ見たい距離の優先度は、遠方>近方>中間とのことでしたので、光エネルギーの半分を遠方に振り分けることで良好な遠方視力を保ちつつも、確実に近方40cmが見ることができるパンオプティクスでの手術にご納得いただきました。

外傷性も疑われる片眼性の前嚢下白内障でしたが、前嚢切開・水晶体摘出に関しては問題なく、いつものようにORAシステムによる術中波面収差解析結果をもとに度数選択を行い、手術自体はスムーズに終了しました。

術後に関しては、翌日から遠近とも1.2以上の良好な裸眼視力であり、その後の術後アンケート時も、お仕事での処方箋の小さい文字も裸眼で良く見えると大変喜んでいただけました。

この方のように、①正確な多焦点の適応判断と、②ライフスタイルに適したレンズ選択を行い、③正確なレンズ度数選択(術後屈折誤差をできるだけ小さくする)さえ行えれば、いずれの多焦点レンズでもスペックどおりの良好な視力を得ることはそれほど難しくないと考えます。逆に多焦点レンズの術後不満例は上述のいずれかが、間違っているということになりますし、個人的には③が永遠の1番の課題ですが、施設努力で改善できる点であるとも感じています。

パンオプティクスでもこの方のようにじゅうぶん満足できる視機能をご提供できますが、その上位互換にあたるパンオプティクスプロは光エネルギーロスがさらに少ないため、より良いコントラストと近方視力の向上、ハログレアなどの夜間異常光視現象の軽減が期待できると思われます。当院には年明けに使用予定のため、パンオプティクスプロが下記のように既に届いておりますので、今後随時、使用感を報告させていただきます。

最後にツールのご紹介です。上記①は③は医療機器の力と施設の専門性によるところが大きいですが、②に関しては、患者様のご協力と、きちんとした希望・優先度の把握が重要です。そこで当院では下記のような患者情報をもとにしたオリジナルの多焦点レンズ選択支援アプリを作成し、実際に臨床で活用しております。

2025年5月に遊び半分で文献ベースでの各多焦点レンズスコアリングを行った際に、せっかくならそのスコアを利用して患者様の希望と照らし合わせることにより、ライフスタイルに則した推奨レンズリストを作成できるのではと考えておりました。休診日などの空き時間にコツコツと手作業で作成し、トライアンドエラーを繰り返しながらプロトタイプは1ヵ月ほどで完成し、この方のように実際の患者様にもご協力いただきながらその整合性を検証しておりましたが、レンズリストに単焦点レンズを加えたことで不具合が生じ、完成までにかなり時間がかかってしまいました。

レンズの光学的スペックに基づく学術的なスコアに加え、年齢・性格・ライフスタイルバランスなどの各種患者情報と、当院での各レンズの臨床結果から導き出された独自のロジックで重み付けして、推奨リスト表示する仕組みになっています。この判定プロセスにAI(人工知能)は使用せず、緻密に設計されたアルゴリズムのみで客観的にスコアリングするため、世間の噂や流行に左右されず、あなたの生活スタイルに論理的に合致した、考えてもいなかったレンズがリストアップされるかもしれません。

UIだけでも公表すると、いずれ類似のツールが多数登場することは容易に想像できますが、本ツールは、患者さまがご自身の優先度(見え方の希望)を整理・確認するうえで有用と考えており、将来的にはWeb上での公開を予定しています。

一方で、本ツールは当方が独自に企画・開発したオリジナルアプリです。患者情報入力項目などのUIやデザイン・構成・ロジックやアルゴリズムの複製・転載・改変・配布、ならびに実質的に同一といえる形での模倣(いわゆる「丸パクリ」)は固くお断りします。無断利用が確認された場合は、削除要請その他の対応を行うことがあります。より良いツールが生まれる健全な改善・発展は歓迎いたしますので、参考にしたい・導入したい等のご相談は事前にご連絡ください。

結果だけが独り歩きして他院にご迷惑をおかけすることを防ぐため、現時点では当院で多焦点レンズ手術をご検討・ご予定の方に限り、オンサイト(院内)でのみご利用いただいておりますが、開発にご協力いただいた福岡の望月眼科  浄水通り院様でもご使用いただけますので、ご興味にある方はお問い合わせください。

2025.12.28

Q.手術前はどのような状態でしたか?

車の運転でミラーが見づらく、運転するのが不安だった。
近くを見るのもボヤっとしていた。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

仕事に支障が出て、運転も不安だったので。

Q.手術中に痛みはありましたか?

チクっとした痛みはあった。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

手元も遠くもよく見えます。

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

夜間の車の運転の不安は解消しました。多少ハロが気になりますが、慣れると思います。
薬剤師なので処方箋の文字、シロップ瓶の目盛りなど見えにくい点が改善されました。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

強度の近視で遠くも見たいし、老眼にて手元も見たい。
仕事PCも扱うので、中間点もピントが合いたかったので。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

手術は勧めます。
HPから、白内障の手術など経験値が高く、患者も多く、安心して手術ができると思ったので。
先生は、説明が丁寧で、安心して手術が受けられました。