診療内容

白内障手術症例集
多焦点眼内レンズ

八王子市50代男性 白内障手術症例#60 編集職(分節状屈折型2焦点レンズ:レンティスコンフォート)

  • 術前

    右眼
    遠見:1.0p(1.2)
    近見:0.1

    左眼
    遠見:0.08(0.1)

  • 術後

    右眼
    遠見:1.5p(1.5)
    近見:1.0(1.2)

    左眼
    遠見:1.5(n.c.)
    近見:1.0p(1.2)

眼鏡店で視力不良を指摘され前医で眼鏡処方してもらったけれども見え方に満足できず、白内障手術で煩わしさが改善するならと初診された方です。

両眼とも22mm程度の短眼軸長眼でしたが、左眼は核硬度3.5程度の進行した核白内障により近視化しており、後嚢下混濁も合併していたため、裸眼視力0.08、矯正視力でも0.1まで低下しておりました。右眼は核硬度2程度のmildな白内障であり+1.5程度の遠視眼ではありますが、裸眼0.9・矯正1.2とまだ良好な視力でした。ですので左眼のみの片眼手術も可能であることをお伝えし、その場合は不同視(左右の大きな度数差)を回避するために遠方合わせの単焦点か、保険適応である分節状屈折型2焦点レンズレンティスコンフォートをお勧めさせていただきました。

術前スリット写真      術前眼底写真
 

レンズの種類については既にご自身でもいろいろと調べられており、もとより老眼鏡使用はかまわないから遠方はしっかり見えるように、レンティスコンフォートでの手術を検討されていたとのことでした。右眼は遠視化により近見裸眼視力は0.1に低下しており、レンティスコンフォートを用いて手術することのデメリットは現時点でもほとんどないと思われ、ご相談の結果、右眼を気にせずベストな度数選択ができることもメリットと考え、両眼の手術をご希望されました。

外傷の既往はないとのことでしたが、左眼のみ病的に進行した左右差のある白内障でしたので、合併症に気をつけながら慎重に手術させていただき、レンズの特性を100%引き出すために、後嚢下混濁もしっかりとカプセルポリッシャー付のチップにて後嚢研磨することできれいに除去して手術は問題なく終了しました。

術後は裸眼にて遠方1.5/近方1.0pと遠近とも良好な視力に大変喜んでいただけました。測定値としては十分な視力に思えましたが、できればもう少し楽に近方を見たいとの希望があり、右眼の目標屈折度はわずかに近方にシフトさせての手術なりました。
右眼術後も裸眼にて遠方1.2/近方1.0と屈折誤差なく遠近とも良好な視力となり、他覚的屈折値測定では左眼に比べ0.625D近方よりでしたが(自覚的には0.375D)、幸い遠方視力も低下することなく期待どおりの結果となりました。

術後徹照写真        術後眼底写真
 

この方は編集のお仕事をされており、かなり小さい文字を長時間見ることから、術後1ヶ月目に近用の眼鏡を作られましたが、その際は右眼+0.75D/左眼+1.00DでスマホもPC画面も良く見えるとのことでした。つまりあと0.75~1.00D近方よりに目標設定していればその距離がカバーできたことになりますが、その場合はおそらく遠方視力は0.5~0.6程度になり、この方の希望にそえない結果になってしまっていたと思われます。遠方・近方どちらを優先するかは人それぞれですので、術前にきちんと担当医に希望を伝えることは、術後満足度向上のためには必須です。

術後アンケート詳細に記載されたいとわざわざお持ち帰りされ、後日ご提出いただきましたので、レンティスコンフォートを検討されている方は、実際に手術を受けた方にしか分からない見え方の評価を、ぜひ参考にされてください

当院では術後一晩のみ眼帯で過ごしていただいておりますが、目立たないように肌色のテープで固定しております。「ビジュアルにはびっくり」と書かれているのは、おそらく肌色のテープで目がなくなってしまったように見えたからだと思います。確かに肌色のマスクをされている方は見かけませんし、大学病院でも当院でも開院当初は白色テープを使用していましたので、注意喚起と言う意味でも目立つ色のテープの方が良いかも知れません。今後の参考にさせていただきます。貴重な御意見ありがとうございました。

2022.01.12

Q.手術前はどのような状態でしたか?

左眼…ほぼ明暗しかわからず、人は輸郭しかわからない。
右眼…ぼやけ・ブレあり、眼鏡でなんとか調整できていた。
両目で見ていると、右眼の視界に左眼のぼやけが重なって、運転は怖くてできない状態でした。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

1月に白内障と診断を受けたが、まだ眼鏡で調整できるといわれて眼鏡で過ごしていました。しかし左眼がとくに急激に悪化してきたことを自覚し、もう手術しかないと思い、7月に諸星先生を受診しました。

Q.手術中に痛みはありましたか?

ありません。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

術後1か月、裸験で生活も仕事もできています。左眼の眼帯をはずした際に、世界がこんなに明るく白いことに感動。
まだ脳が新しい見え方に慣れる過程なのか、寝起きの際など、見え方がぼやけることがある。また、夜、レンズの縁のような光のリングか見えることがあります。
レンズの特性上、手元は老眼鏡が必要になるかもとわかっていたが、想像以上に広範囲が見えて、電車内でのスマホもギりギリ見えている(が、もう少しハッキり見えるようになりたい。
若干意外だったのが、遠距離の見え方で、バッチりとビントが合っているわけではありません。生活に支障があるわけではないが、プレ・にじみを感じます。これはもう少し時聞をかければ脳の側で調整できるめかどうか?

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

2009年に初めて眼鏡をかけるようになって以降、年々視力が落ち眼鏡が手放せなくなってきたのが、基本的に眼鏡なしで過ごすことができるというのは、なんとありがたいことかと思っています。マスクで眼鏡が曇るイライラとも無縁になりました。
出版業の編集職なので、パソコンと手元書類ができるだけクリアに読めるようにしたい。
仕事用には、もう少し手元が見えるように調整した眼鏡もあっていいかと思っています。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

レンテイスコンフォート以外にする積極的な理由が見当たりませんでした。
レンテイスコンフォートは①遠距離~中距離が見えるようになる②保険適用になる③ハロー・グレアが少ないという3点で第1希望と考えました。
選定療養の二焦点や三焦点レンズも考えないではなかったのですが、コストに比べてレンティスコンフオートよりも格段によくなるという判断にはなりませんでした。一生ものなので、保険適用が絶対条件とも思っていなかったのですが。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

迷わずお勧めします。

今回、とくに紹介もなくHPの情報で諸皇先生を受診しましたが、事例を含めた情報公開が充実しており、信頼できると感じました。実際に診察を受けても、簡潔ですが自分の状態と対応方針がよくわかる説明をいただき、安心しました。スタッフの皆さんの丁寧な対応も気持ちよかったです。ありがとうございました。

一つだけ、術後の眼帯をした自分のビジュアルにはびっくりしました。ちょっと、人ごみの中を歩くのは勇気が必要でした。肌色なので二度見しないと眼帯とわからないような気がします。今はマスクもカラフルなものが多いので、全然違う色の方が「何かをつけている」ことがすぐわかって「まし」なのかもしれません? ……まあ、一晩だげのことなので気にしなければいいのですが。