診療内容

白内障手術症例集
多焦点眼内レンズ

杉並区70代女性 白内障手術症例㊻(分節型2焦点レンズ:レンティスコンフォート)

  • 術前

    右眼
    遠見:1.2(n.c.)
    近見:0.2(1.0)

    左眼
    遠見:1.2(n.c.)
    近見:0.2(1.0)

  • 術後

    右眼
    遠見:1.5(n.c.)
    近見:1.0(n.c.)

    左眼
    遠見:1.5(n.c.)
    近見:1.0(n.c.)

3年前に当院で白内障手術された方の奥様が、最近夜間運転しづらく近くが見えにくくなってきたということで、1年ぶりに白内障手術相談に来られました。遠方視力はまだ良好でしたが、年齢相応の皮質白内障と強い老眼による近見視力不良を認めましたので、手術も選択肢の1つとお話させていただきました。

夜間運転に関しては単焦点レンズでも改善されますが、近方視力は、御主人のように老眼鏡を使用する必要がある旨お伝えしたところ、選定療養の多焦点レンズまでは費用面で希望されないとのことでしたので、保険適応のある唯一の多焦点レンズであるレンティスコンフォートを御提案させていただきました。

レンティスコンフォートは低加入の2焦点型多焦点レンズであり、加入度数は1.5Dですので近方焦点距離は約70cmとなります。代表的な3焦点レンズは3.2D加入されているため近方焦点距離は約40cmとなるので、近方視力は劣ります。しかしレンティスコンフォートは、一般的な多焦点レンズのようにレンズに溝(回折格子)がない分節型(遠近両用メガネのように下方に近方度数が入っている構造)であるため、ハログレアはかなり少なく光エネルギーロスが少ないことと、経済的負担が少ない(単焦点と同じ費用)ことは、より優れている点と思われます。

上記ご理解のうえ、少なくとも遠方視力は確保できるように目標屈折度を設定し、レンティスコンフォートにて手術を行いましたが、結果として裸眼視力で遠方1.5・近方1.0と、予想よりも近方視力が良好なことに大変満足していただけました。御本人からは、眼鏡なしで読書もでき、雨の日の夜間運転も全く問題なかったと御報告いただき、術前の不満点をほぼ全て解消することができました。

2020年3月で多焦点レンズ手術が先進医療保険対象から除外された後は、レンティスコンフォートでの手術症例が増えてきております。多焦点レンズは御希望されても、検査結果によっては向いていない可能性もありますので、高い術後満足度を得るためには、術前のレンズ種類の選択と適切な適応判断が重要になります。レンティスコンフォートは、症例を選ぶレンズかと思いますが、この方のように元来遠方視力が良く、老眼が強くなってしまった方には向いていると思われます。御希望の方はお気軽に御相談ください。

※視力は、角膜乱視の状態や瞳孔径の大きさなどに影響されますので、皆が皆、この方のように眼鏡なしで生活できるとは限りません。

2020.10.14

Q.手術前はどのような状態でしたか?

ヘッドライトが眩しく、夜の雨の運転がスムーズでは無かった。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

家族(夫)が手術を受け、良いと言っていたので。

Q.手術中に痛みはありましたか?

痛みはありませんでした。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

手元が良く見え、眼鏡なしで新聞が読めるようになった。

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

買い物中、値札が読めて眼鏡を取り出すことが無くなった。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

金額的なことで保険適用されている多焦点レンズを選んだ。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

是非勧めます。