診療内容

白内障手術症例集
多焦点眼内レンズ

練馬区40代女性 白内障手術症例㊱(外傷性白内障・片眼:乱視用3焦点型多焦点レンズ:パンオプティクストーリック)

  • 術前

    右眼
    遠見:0.9p(1.2)

    左眼
    遠見:0.2(n.c.)

  • 術後

    右眼
    手術なし

    左眼
    遠見:1.2(1.5p)
    近見:1.0(1.5)

他院にて片眼の外傷性白内障を指摘され、手術目的にて初診された方です。高校生の頃に交通外傷に遭われ9年前から左眼の外傷性白内障を指摘されていたとのことですが、強い前嚢線維化と後嚢下混濁を認め、視力0.2(矯正不能)に低下しておりました。白内障のほかにも左眼のみ強い角膜乱視を認め、原因は不明ですが片眼性であることからこちらも外傷の影響が疑われました。
まだ40代ということもあり老眼鏡使用には抵抗があるとのことで、当初より先進医療保険を利用した多焦点レンズでの手術をご希望されていました。乱視が強いため乱視矯正効果に安定感のあるアクティブフォーカス・トーリックでの手術を予定しましたが、手術予定日の2週間ほど前に当院が3焦点レンズであるパンオプティクス(PanOptix)の先行使用施設に認定されたとの案内があったため、こちらから選択肢が増えたことを連絡させていただき再度ご相談となりました。
もともと10月末に3焦点レンズが発売される旨は事前にお話していたのですが、それまで見えない状態は耐え難いととのことで、2焦点レンズで早めの手術を希望されていました。外傷性白内障は進みだすと進行が早いため、術者としては安全なうちに早めに手術したいのですが、当初の予定よりも早く3焦点レンズであるパンオプティクス(PanOptix)での手術が可能ならばと延期しての手術となりました。
外傷性に加え、前房深度の左右差が1mm以上ありチン小帯脆弱が予測されたため、場合によっては乱視用のパンオプティクス・トーリック(PanOptix Toric)は使用できない可能性もあり、念のため通常のパンオプティクス(PanOptix)と、単焦点レンズの3種類のレンズを用意しての手術となりました。
術中は予想よりもチン小帯はしっかりしており、CTR(補助リング)も使用せず、予定通りパンオプティクス・トーリック(PanOptix Toric)を使用して無事手術を終えることができました。
術翌日は近見視力0.7程度とやや不良でしたが、術後2ヶ月経過した現在は、裸眼視力で遠方1.2・近方1.0と、手術したのも忘れるくらいだと大変満足していただいております。
アルコン社の3焦点レンズ・パンオプティクス(PanOptix)は、夜間のハログレアが気にならなければ、眼鏡を使用したくない方には最も向いている先進医療対応多焦点レンズだと思われます。その他、ジョンソン&ジョンソン社も2焦点のテクニスマルチと、焦点深度拡張型のシンフォニーを合わせたような新しい多焦点レンズ(TECNIS Synergy)を海外では発表しており、良好な結果が報告されています。

多焦点レンズの進歩は早いため、より良いレンズをと考えるとなかなか手術タイミングの決定が難しいと思われます。手術を検討されている方には、白内障進行に伴う手術リスクをふまえてアドバイスさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

Q.手術前はどのような状態でしたか?

太陽の光がとても眩しい。片眼がほとんど見えなかったので、歩いていて段差など怖かったです。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

いつかは手術をと思っていたが、目の手術をするのが怖く、延ばし延ばしにしていました。免許の更新までにはしないとと思っていたので(前回更新時は左眼が全く見えなかった)

Q.手術中に痛みはありましたか?

痛みは無かったが、重みというか目を触っている違和感みたいなものはありました。
途中から影も見えたので、ドキドキしました。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

手術前がほとんど見えなかったので、書くのも見るのも全然違います。

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

仕事や普通に歩くことにも、何の問題もなく過ごせています。
眼鏡(老眼鏡)なくても字が書きやすくなりました。
車の運転も怖く控えていましたが、少しずつ増やしていきたいです。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

先進医療保険に入っていたので、40代で手術をするのに単焦点レンズは不安があったので、多焦点を選びました。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

白内障は良くなる事はないと思うので、手術することで生活しやすくなるならお勧めしたいと思います。