診療内容

白内障手術症例集
多焦点眼内レンズ

練馬区70代女性 白内障手術症例㉗(焦点深度拡張型多焦点レンズ:テクニス シンフォニー)

  • 術前

    右眼
    遠見:0.05(0.07)

    左眼
    遠見:0.3(0.5p)

  • 術後

    右眼
    遠見:0.9(1.5)
    近見:1.2p(1.2)

    左眼
    遠見:1.0(1.5)
    近見:1.0(1.2p)

多焦点眼内レンズの相談にて総合病院眼科より紹介の方です。眼軸長にそれほど左右差はありませんでしたが、右眼のみ-6.0Dを超える強度近視となっており、grade3程度の核白内障進行による近視化をきたしておりました。加えて糖尿病性と思われる後嚢下白内障により矯正視力も0.1以下に低下していましたが、糖尿病の血糖コントロールは良好であり網膜症も認めないため、多焦点レンズ適応有りと判断させていただきました。
もともと両眼とも軽度近視であり、運転やスポーツの機会もなく、読書やミシンがけといった30cm程度や、料理などの50cm程度とテレビが見えることをご希望されましたので、近中距離から遠方まで連続的にスムーズに見える焦点深度拡張型のテクニス シンフォニーを近方優位で度数設定させていただきました。
結果として、両眼での近見視力は1.2と裁縫での針通しも眼鏡なしで行え、遠方視力も1.0と運転免許も眼鏡なしで更新できる視力に大変満足していただけました。
多焦点レンズといえども、30cmから遠方まで全てがよく見える眼内レンズは現在のところ存在しません。当院では術前の手術説明でその点をご理解いただいた上で、術後必要時にもし眼鏡使用する場合、遠方・近方どちらなら許容できるか確認し、度数設定の参考にさせていただいております。もちろんマイクロモノビジョンなどに設定することで、眼鏡なしで過ごせることを目標にしておりますが、術後の不満足例を生じさせないためには、患者様の優先度や手術に求める結果をしっかり把握しておくことが重要だと考えます。「科学的根拠に基づく医療」であるEvidence-Based Medicine(EBM)はもちろん大前提ですが、個々の希望が多様化している現代では、同時に「個々の患者にふさわしい医療」であるPatient-Based Medicineを提供できるよう心がけ診療させていただきます。

Q.手術前はどのような状態でしたか?

右眼の白内障がより進んでいた。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

60歳検診の時、白内障予備軍と言われ、白内障の目薬をしていたが、1年前位から悪くなってきたため。

Q.手術中に痛みはありましたか?

痛みはそんなに感じない。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

近くが良く見えて、読みもの、ミシンがけ、針通しもできる。
遠くは以前使っていた眼鏡を使用するとはっきりする。

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

とにかく眼鏡の取り外しが煩わしかったため、自然に日常を過ごせて感激している。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

多焦点レンズ
眼鏡をかけたり、外したりの不自由さがなくて良い。自然災害にあった時
より実感するそう。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

勧めたいと思う。