診療内容

白内障手術症例集
単焦点眼内レンズ

群馬県前橋市50代女性 白内障手術症例㉒(最強度近視:単焦点レンズ・モノビジョン)

  • 術前


    遠見:0.01(0.2)


    遠見:0.05(0.3)

  • 術後


    遠見:0.5p(1.5)
    近見:1.2p(n.c.)


    遠見:1.0p(1.5)
    近見:0.9(n.c.)

外傷後クモ膜下出血後より両眼の視力低下が急速に進行したとのことで当院初診されました。群馬県前橋市と遠方からの来院でしたが、当院で手術を受けた方からのご紹介で白内障のセカンドオピニオン目的とのことでした。
-20Dを超える最強度近視の方であり、核白内障はグレード4とかなり進行しておりましたが、黄斑部に明らかな異常は認めず白内障手術による視力改善が期待できるため、手術加療をお勧めさせていただきました。
ご職業は作家さんであり日常生活でデスクワークを優先され、強度近視性の視神経障害も疑われたため、近方に焦点を合わせた単焦点での手術をお勧めさせていただきました。しかしながら多焦点レンズも捨てがたいようでしたので、もともとの左右差を活かして軽度モノビジョンをご提案させていただきました。
強度近視のほかに外傷による白内障進行の可能性もあり、チン氏帯脆弱のリスクもありましたが手術は特に問題ありませんでした。術後も単焦点ながら多焦点レンズのように遠近とも見えることに大変満足していただきました。術中はところどころ若干疼痛の訴えがありましたが、こちらは虹彩(茶目の部分)動揺による毛様痛(暗いところから急に明るいところに出たときのような重い痛み)と思われます。強度近視の方は通常の方より眼軸が長いぶん、虹彩の動きによる痛みを感じやすい構造になっておりますので、当院では極力眼球に負担をかけないよう低灌流量・低眼圧にて手術を行っておりますが、痛みの感じ方には個人差がありますのでご了承ください。
術後遠方裸眼視力は右0.5p、左1.0pとかなり差があるように見えますが、実際の屈折度の差は1.0Dのみですので、クラクラするようなこともありませんし眼鏡装用も十分可能な左右差です。近方も裸眼で右1.2p、左0.9と良好で現在は眼鏡なしで生活されているとのことです。モノビジョンは誰もが適応できるわけではありませんが、患者様の特性に合わせて適応を判断することで、メリットをもたらすことができますので、お気軽にご相談ください。

Q.手術前はどのような状態でしたか?

ほとんど見えなく日常生活が難しかった。特に電車の乗り換えや、徒歩でも看板などが見えなくて不便だった。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

視力がどんどん低下した為、手術をすれば良く見える生活が出来るかもしれないと思ったから。

Q.手術中に痛みはありましたか?

とても痛かった。圧迫されるような重い痛みや時々刺されるような痛みがあった。
術後は歩くのも辛く、痛みも一晩続いた。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

手元も遠くも良く見え、人の顔が良く見えるようになった。
先生曰く「単焦点でありながら、多焦点のような見え方になりましたね」と。まさに!その通り遠くの景色も美しくよく見えます。

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

写真が撮れるようになり、またパソコン作業時も姿勢が良くなり、仕事がしやすくなった。
目や体の疲れが減った。
美術館の展示解説書が良く見え、楽しみが増えた。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

近視だけでなく、視神経にも問題があり、先生のアドバイスで単焦点レンズを選んだ。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

白内障が進行しないうちに手術することを勧めます。