診療内容

白内障手術症例集
多焦点眼内レンズ

杉並区60代女性 白内障手術症例⑲(多焦点レンズ:アクティブフォーカス)

  • 術前


    遠方:0.5(1.5)


    遠方:1.0(1.5)

  • 術後


    遠方:1.5(1.5)
    近方:1.0(1.0)


    遠方:1.5(1.5)
    近方:1.0(1.0)

1年ほど前から夜間対向車のヘッドライトが眩しく街灯がにじむほか、近くが見えず焦点が合わないとのことで、多焦点眼内レンズでの白内障手術相談にて初診された方です。医療関係者であり血圧計などの表示も眼鏡なしで見えることを希望され、夜間の運転機会もあるとのことでしたので、シンフォニーによりも近見加入度数が強く、ハログレアの少ないアクティブフォーカスを勧めさせていただきました。
白内障自体は皮質混濁が主であり核硬度はそれほどでもありませんでしたが、遠視化をきたしており年齢的にも調節力はほぼなくなってしまっていることより、RLE(Refractive Lens Exchange)として白内障手術によるメリットがあると判断させていただきました。RLEとは、屈折矯正つまり主に裸眼視力の改善と老眼治療を目的とした白内障手術のことです。
裸眼で運転でき、かつ近見もある程度確保したいとのことで、-0.5程度を目標屈折度として手術を行いましたが、両眼とも片眼裸眼で遠方1.5・近方1.0と非常に良好な視力を得ることができました。夜間運転時のハログレアも気になっておられず眼鏡なしの生活に喜んでいただけました。
アクティブフォーカスは先進医療認定された多焦点レンズでは現時点で最新のものとなります。厳密に言うと焦点深度拡張型ではなく2焦点型になりますが、従来のものより中間距離の見え方を損なわずハログレアの出にくい工夫がなされています。加入度数はレンズ面で2.5D(角膜面では約2.0D)となり、シンフォニーの2.0D(角膜面では約1.5D)よりも0.5Dだけ近見優位となっております。参考までに海外の報告から作成した両眼視力曲線がこちらになります。
患者様の感想に基づいた実際の使用経験としては、近見視力に関してはアクティブフォーカスは数値どおりでやや弱くシンフォニーは数値以上、中間~遠方視力に関してはどちらも同等ですが夜間のハログレアの訴えはアクティブフォーカスの方が少ないという印象です。
多焦点レンズの調節力は未だ正常水晶体には遠く及びませんが、今後眼内レンズの進歩によりRLEの比率が増えることは確実と思われます。現時点ではパーフェクトな多焦点レンズは存在しませんので、術前にためらわずにご自分の希望をお伝えいただければ、メリット・デメリットを含め最適と思われるレンズ・度数を提案させていただきますのでお気軽にご相談ください。

Q.手術前はどのような状態でしたか?

昼夜問わず対向車のヘッドライトが眩しく、また手元がボヤけて老眼鏡が手放せなかったです。

Q.手術を受けようとしたきっかけは何ですか?

老眼も同時に解消でき、眼鏡がいらなくなると知ったので受けようと思いました。

Q.手術中に痛みはありましたか?

圧迫感くらいで痛みはほとんど無かったです。

Q.手術後の見え方はいかがですか?

老眼鏡は一切使わず生活できています。
食事の時に何を食べているのか見える様になって嬉しいです。

Q.日常生活(お仕事、運転、スポーツなど)で変わったことはありますか?

眼鏡の煩わしさから解放されました。
品物の値段や薬の注意書も読めます。

Q.多焦点レンズと単焦点レンズのどちらを選ばれましたか?

老眼鏡から解放されたかったので、多焦点レンズにしました。

Q.同じような症状で困っている患者さんがいるなら、手術を勧めますか?

勧めています。